沖縄にかぶれて、沖縄、再びの中締め
蚊に刺された後が瘡蓋になりかけた頃、助け合いの草刈り作業で漆にかぶれてしまった…
漆にかぶれながらも、その夜に見た天の川の美しさ、そして沖縄の地に降り立った暑くて仕方のなかった二ヶ月前のあの日から今この瞬間まで沖縄にはかぶれっぱなしですよええ。
あいもかわらず適当なことをのたまわっていますが、漆にかぶれた患部に効く特効薬さながらの、人そのものに効くお薬などないので、日々の与えられた仕事をこなし、お腹いっぱいに美味しいご飯を食べて結局私はこの沖縄で元気いっぱいに過ごしております。
拝啓父上様、蚊に刺されて死ぬなどとなんと無念なことか心中お察ししますが、息子は危険察知能力が大変すぐれておりますので、無謀な探検はせず、きっと父上様のあまり知らぬ沖縄の地にて旅の第一歩目を噛み締めております。あんまり噛み締めすぎるのも如何なものかと思いますが、無為自然なるままに過ごしてゆくのみであります。
未だ30の歳にして、大いなる冒険心は心の奥底に留めて大分に自分を甘やかしてはいますが、この今いる村は中々のドMっぷりを発揮せぬことには日々をやり過ごせません。
いずれにせよ長寿の自分を呪わずに、ただ流れに身を任せて来たる次の困難に備える、そんな日々です。
朝早くから一緒に名護は安部の海でサップサーフィンを楽しんで村に帰り作業をし昼寝をしたあと夕方ごろに「いやあ、なんかねえ、あのあと大学のジムに行って追い込んで、逆立ちしてこけて右脚の人差し指を多分折っちゃったんですよねえ…」という村の仲間げんちゃんがビッコをひきながら言った時は吹き出してしまって、年が10コも離れたげんちゃんに羨望の眼差しを向けざるを得ませんでした。
翌日病院に行ったら勿論折れていて、再び村に来た時は「早くお家に帰って寝なさい」なんておじさんぽいこと言いながら大笑いしたのだけれど、サップサーフィンをして、ジムに行って、逆立ちして指折って、村来て何事もなかったかのように、作業も手伝って「痛いなあ…」なんて言いながら横になって寝もしないハタチに憧れざるを得ません…自分もまだ30、体力にはまだ勿論自信があるけれど、ハタチはやべー…ってことなのです。
その日、安部の朝の海は当然のごとく穏やかに透き通っていて余分な体力をそこまで使わぬサップサーフィンで優しく朝を漕ぎ出すことが出来たのでした。あの海をあなたに伝えなければ…と思ったら写真はなく、とりあえず経験のない人は即座に調べて行って欲しいのです。
あの世はどうなっているだろうか、この沖縄の地の様なものかしらと想わせるコンパクトかつダイナミックなこの地にまだまだ留まりそうな予感で、それがなんと幸福なことなのかとこの文章を書きながら感極まり思うのでした。
「どこかで私は悪人だろうが、私は私を大切に扱うのみである」
Music : These Boots Are Made for Walkin' -Nancy Sinatra (1966)
Location : NAGO, ABU
野宿してえコザ
村からコザまで車を出してくれたハタチのげんちゃんの「いや絶対今帰った方がいいですよ…明日朝が台風一番ヤバいですよ…好きにしたらいいですけどね!僕は帰りますよ!」という非常に大人な意見を無視して刺激だけ求めた飲みをした結果大して酔わず、野宿は台風17号の影響により轟音鳴り響く人の気配のないアーケードで風に飛ばされていたまくらダンボールを拾い決行したものの、勿論、後悔先に立たずの典型で、単純明快に自分の馬鹿さ加減を知ったのでした。ただし心は平穏でむしろワクワクが勝ち続けています、というかまだ甘いですねまだまだ追い込みが足りません、果てのない恐怖について勘ぐり続けた賜物だと思われますが、イマイチ面白さに欠ける自分を少し責めたりして、台風が過ぎ去るのをた明るくない正午に文を書き始めることにしました。
出会いがありました。
沖縄に来るチョイ前くらいに聞き知ったHarikuyamakuのRujigaku × Tafaku をワカゲノイタリ村に初めて来た日の夜にかけたら村長が「え!これハリクヤマクじゃない!?なんで知ってるの!?」ということからグッと距離が縮まった感があり、星をみる流れへと続いた訳ですが、そのハリクヤマクに会ったのです。
所持金ゼロ仙人モードの私は、朝方ハリクヤマクと一緒にいた北谷のケイちゃんにご飯をご馳走してもらいながら良い話を聞いて、台風野宿の健闘を祈ってもらいお別れしたのだけど、それはそれは二人とも最高にいい男で、もはや四国のお遍路の二回目をそろそろ…なんて言ってる最高のアシッドマンで、自分の仙人になる件もすんなり聞いてもらった訳です、いや多少の苦笑いはありましたが…
そんなHrikuyamaku御大は今頃曲作りをしてるそうです、きたる9/28〜29に勃発するHENTAI CAMP2019の為に…このキャンプは相当カオスだそうでHrikuyamaku先生的にも「最高…」とのことですので諸先輩方ぜったい行ってください、ぜったいです。
さて、コザ地元住民がどう思うかはさておき、コザのアーケード街が寝やすいのは間違いないのでしょう。
「台風じゃなきゃね」
いや、台風だから逆に人が少ないし、蚊もいないし、川のせせらぎ系の轟音がたまにキズだけど水の音に全方位で囲まれてるから寝つきはいいしってことなのかな。沖縄来た初日と、今日とで二日ともコザは野宿だけど危ないことはないですな。東京で野宿も正直いつでもいけるなくらいに思えるけどありえないから考えてもムダムダムダなのですな。
熟睡したものの3時間くらいで便意が原因の苦しい寝起きで、しっかり排水溝的なポイントで野グソをしてそれをええいままよと拭いた手を、アーケードの端の雨が激しいとこの地面に擦り付けながら汚れを落としていると、視線を感じて振り返ったら後ろから野宿おじさんが見ていて目があって会釈しました、何をしてたかバレてないよな…と勘ぐりながらも今更なに勘ぐってんだと自分にツッコミいれながら元いた場所で表面的にしか汚れの落ちていない手でスマホをイジイジしてまた寝落ちしたのでした。
腹が減ってきても金がないから村に帰りたいけど台風が激しすぎてヒッチハイクもままならない中絶望しかけたものの、台風のコザをところどころ濡れながらも徘徊したら「せんべろ足立屋」に灯りが!ということで店内を覗き込み人がいたので「スマホの充電が切れてしまって…名護に帰らなきゃ行けないんですが…」スマホの充電をしつつ仕込み中の店員のお兄さんがお茶出してくれたり、結局ヒッチハイク用のダンボール看板を作ったりして、とにかく足立屋に感謝なのです。
その後ヒッチハイクを見事にアーケードの中で出来た私は無事予定よりも早い暴風域が抜ける16時前に村に着いたのでした!
暴風域の中車を無理やり村まで走らせてくれた沖縄の人助け仙人「タモさん」のお話はいずれしましょうね。
疲れ帰った後はアドレナリンが出すぎて、村人に事の経緯を話し尽くして、元村人宅にて夕飯を食べ、その後名護の神々が集う街OKINAWANの18周年に行き何故か上田正樹がいたりと謎の会を眠い目こすりながら息も絶え絶えで都度ビールで起こしながらそこから久々のバタンキューーーー。
「眠たい目をこすって、明日も明後日も明々後日も生きろ!」
Music : Elektronik Kadyiku (電子嘉手久) -Harikuyamaku
Location : KOZA
https://www.instagram.com/p/B2iK0sVDjMS/?igshid=7fjnj20gjf01
怠惰isマネー
男にも生理ってのがある上で「たいだいずまね〜」
軟弱と言われればそれまでだけど、より良い生活、人間関係を送るためにちょっと啓蒙。
どうしようもなく怠い時とか、思考が落ち着かなかったり、過去を思い出したり、誰かの事をやたら考えたり、自分を責めたりしたりする時があるのは全て月のせいなんですわ、だからしょうがないんですわわわ。「男らしく」を心に持ちすぎていては一皮剥けませんよ、って。
私早熟だったから物心ついた頃からイクことを探求してましたが、方法は確立されておらず、住環境もそれをコッソリすることの出来ない終戦直後くらいの間取りと人口密度の中でなんとか毎夜のように求め続けておりました。
10歳のある日学校も行かず昼から12chの午後のロードショーでフランス映画だったと思いますが、ブルネットヘアーのおっぱいに釘付けになりながら弄んでいたら突然ズルっと皮が剥けて妙な匂いを放つ垢がボロボロ出てきたのを今思い出しました。
それはとてつもなくワクワクする、大人への階段を一段登った!という明確な一皮剥けた出来事でした、そんな経験勿論皆様お持ちでしょうが、受け止め方はそれぞれらしいですね。とにかく私は従来の横弾き系から縦運動系へと進化させて更にイクイク猿へとなっていったわけですが、それと同じようにその後も何度か衝撃的な出来事で「一皮むける」を体験するのが人間です。仮性包茎です。
だけど「男の生理」を認識出来ているのは少数なようで、生理のイライラで迷惑を周りに撒き散らしている男をよく見ますね。あ、外の人は無理にいい顔して、身近な人に当たり散らしたりすることが多い気がします、私もあります、気をつけます。生理だと認識せずともそういう状態の自分を認識して、自発的に一人きりになる人は偉いです、すごく偉いですね。
怠惰になりましょう、無理に社交するともっと辛いです、何事も諦めましょう。寝ましょう、横になりましょう、休みましょう。根性を発揮しないでください、スマホやら何やらを弄って時をやり過ごしてください。土に触れてもいいですね、爆音もいいし、ビールもいいし、weedもいいですね。acidは生理中にやればほぼbadにいきます。座禅や瞑想系はちゃんとやってきている人でない限り雑念まみれで自分が嫌になります。下手な絵を描いてもいいし、文を書いてもいいですね。生理中です。
歌ってもいいし、弾いてもいいし、踊ってもいいし、木とかを削ってもいいですよね、やっぱり延々とSNSで絵空事を眺め続けようかな、それとも軽く走ろうかな、自転車もいいな、バイクで疾走もいいし、ハイカロリーを求めてもいいな、逆に断食もいいし、家事をしてみるのもいいし、能動的でありながらも怠惰な時間を過ごして生理をやり過ごしてみましょうね。
自分の生理の時期を知りたい男性はまずググってイマイチ納得できない方は、国立図書館に行くか、私にメッセージください、怪しげなカレンダーをあなたに授けてしんぜよう。
「正解を求めがちな男たちよ、月に向かってシコれ、吠えろ、寝ろ!」
Music : Thunderclouds - LSD
Location : Far side of the Moon
満月の夜に
善き人々で賑わう村のグルーヴを永遠はなくとも延々に
満月の夜に観た「天空の城ラピュタ」、子ども達がいつか大人になって同じセッティングに出くわした時に五感が震えるでしょう。
そんな夜を過ごしてしまうとこの村の更なる発展を見たい。地に根付いた人達と、外の世界から来た人達が共に時間を分かち合って進んでいくハブな村の火を絶やぬ努力をしましょうね。
人は月からの影響を避けきれない、あらゆる星達の影響力も実は大きい。
目に見えぬ素粒子達がこの地球、勿論人々にも影響を与えていて、それをどんな優れた人、学者も、占星術師も、宗教家も、政治家も、アーティストも、解明しきれず、未来を読みきれはしないけれど、互いに壁を作らずに協力しあってより良い世界を築いていける可能性は捨てきれないのだから、「過去は、歴史は繰り返す」「結局円に収束する」とかって悲観せず「人の、文明の力」を信じましょう。
名護、東の海は太平洋、西の海は東シナ海に面していて、真ん中には緩やかな山々があって自然は最高です、最高です、最高です。
東の海は人が少なく浜を独り占め、西の海は美しい珊瑚の海。写真を見ずに来たら感動は百倍。
本州をギュッと縮小したような地形は冒険にはもってこいだから「名護いいとこ一度はおいで」と一ヶ月もいない私ですが言いつづけます。名護にいれば人は自然に濾過されるかのように浄化されるし、勘ぐりも良い方向へと冴え渡ることうけあいなので、さっさと来てください。
ワカゲノイタリ村もこれから良い方向へと発展していきます。
もう一度
「善き人々で賑わう村のグルーヴを永遠はなくとも延々に」
Music : OPAL BICEP
Location : OKINAWA NAGO
星を追いかけ、足るを知りに来ました
沖縄は名護市ワカゲノイタリ村へと辿り着いた最たる理由はやはり星のせいなのです
那覇からドミトリーの仲間とキャンプへと出かけた週末なだけなはずが、当面の居場所を見つけてしまうなんて不思議な人生の流れに星をさらに深く意識せざるを得ない訳で、何故そうなったかという理由を迷いなく星に答えを見いだせることに、自分は占い師として成熟してきたと妙な達成感を覚えていながらも、調子に乗らないようにとすぐに誡めましょうね。
「もっと素直に喜べばいいのに…」
自分も他者にも完全に尊敬することのできる今が最高に調和のとれた時期ですが、僕はわざわざ日記を書いています。
この作業すらもなければ仙人に近づけるのに、まだまだ修行が足りません。
この村で出会ったキキと暗い道を散歩して一番近くて遠いコンビニへとポーラベアを買いに行く時に歩く道は「ここはどこだったっけ?」と少し進むたびに再認識を迫られる小旅行で、これから始まる生活と目標を再認識して柔らかい責任感が芽生えたのでした。だけど遠さに気付いた時もちろん途中で引き返すタフでない自分も可愛いのです。
数冊の本をそれぞれ少しづつ読む時間も気分良くて、この状態が何のご褒美なのかとか、過去に置き去りにしている業を回収する作業にも身に入るのだからここ沖縄は不思議な土地です。
神々の集う場所には心引き締める言葉がありました
諭吉先生の言葉だけでなく、久々に他人から聞く
「この肉体は借り物」
「時たま答えは中国からやってくることを認めること」
「真の意味での信仰の自由」
「闘うこと」
「世に出て、世に問うこと」
名護市にあるCafe「OKINAWAN」で久々に蠍座の女性と交流ができて心地の良い時間を過ごす代わりに、またナチュラルハイで眠らぬ脳を手に入れてしまったけど、無理は禁物であらゆるクオリティの低下さ免れないのでやはりちゃんと眠りましょう。
ちゃんと眠れていますか?
眠れない時は好きなことに没頭するか、部屋を掃除するか、眠たい本を読むか、あの人やあの人、あ、あの人にも電話しましょう。
「日々に感謝、感謝、感謝」
Music : 生活の柄 高田渡
Location : OKINAWA NAGO WAKAGENOITSRI
沖縄は那覇で中締めしましょうね〜
那覇を出れなくなってしまった。
一日800円のドミトリーに泊まっていて、日雇いに出たり、路上で占いをしたり、頼まれごとをやる前にお金をもらったりしているのに何故かお金がなく目的の地である四川は成都に辿り着くための航空券も未だ手元には無い。もはや成都は住んでいる場所という感覚にすらなってきた。
路上とドミトリーで出会った男4人で部屋でも借りて「次の旅に備えようか」と握手したけれど段取りは悪く風邪気味の身体に鞭打ってヨレている。
東京で出会ったコザ出身の男たちにLINEで「あなたは素晴らしいところで産まれたのね」と大事な場所を思い返させる作業をすれば、自分含めて30歳前後の男は「帰る場所は自分で無くしている」ものなのだと気づく。
自分に厳しいのが美徳で合っているんですか?
「人に優しく、自分にも優しくいきましょうねえ」
「沖縄マジック」という言葉はあまりも安っぽくて好きじゃない、だけどその通りで、日中でも夜でも人と人とのコミュニケーションが円滑で壁はなく見知らぬ人とも日本語で話し込めてしまう、外国とも違う不思議な感覚と日本語話者であってよかったと思ってしまう。
「沖縄の人?」
生来の濃い顔と、まばらな日焼けが沖縄の人と思わせるらしい。やはり暑い土地が合っている。
流れ着いた先なのかもしれない、沖縄でやるべきことと、成すべきことが生まれたことにただただ感謝である、何故もっと早く…とは思わないが、もし今よりも後に来たとしたら?という妙な恐怖を感じる程にこの沖縄の地が眩しく美しく、優しく、今までの人生全てを肯定してくれる。
「何も間違ったことはなかった、僕らはまだ旅の途中」
Music : 透明人間 - 東京事変
Location : NAHA OKINAWA
旅行けば琉球の国に酒の香り
気づけば沖縄に来て二十日が経っている
那覇の宵の始まりは早く、沸き立つ熱気が冷めた頃に始まる。訳のわからぬ名目で人々が集まりだした酒場は安く人を酔わせて、新しい出会いを生んだら日付の変わる頃にさっと閉める「せんべろ」にどっぷりと浸かってしまった。
「なんとかなる」じゃなくて「なんとかしてる」だよね
ドミトリーで知り合った福島の同い年の男が言った言葉だ。
生まれ育ちも違い、沖縄に来るまで全く異なる人生を歩んでいてもこの言葉は自分の胸にも閉まってあった言葉だったからフラッシュバックのような、正夢のような、見たことある景色が突然現れたような感覚になって酒が進む進む。
沖縄の汗ばみ続ける陽気のせいか、東京にいるときに恐れていた悪酔いがこないことに気がついた。飲みすぎても、飲みが少なくても知らぬ土地での多少の緊張感と、人々の曇った表情を見ずに済むせいでなんにせよ時間が緩やかに過ぎていつも心に太陽を持っていられるんです。
40人近くが一つの大部屋に寝泊まりすれば、24時間どんな時でも物音がしている。
眠りの浅い時間に周囲の物音で目覚める、だけど自分の理想の睡眠時間よりは1、2時間少ないから疲れは確実に蓄積しているようだ。だが疲れを吹き飛ばす楽しみな酒はこの那覇の地の救いである。
酔いは深く芯まで届き、折り返しては身体の外へと逃げていく。
そろそろ飲みましょうね〜。
そういえばドミトリーで文化的な生活をどうにか送りたいものの、イスラエル人のバックパッカーからテントをもらった後から、その気が徐々に失せてきてしまった。最悪は初めの頃にやったからテントで寝れるなら最高ではないものの、一泊800円が高く感じてきてしまった。
諸先輩方はこんな経緯を辿ったのかと自分が辿っている道に恐怖も感じながらもワクワクしてしまう自分も観測して自信をつけてしまう。
その自信でなんとか金を稼げないものかと始めた路上占いは幸先の良い初日からその後今この文章を書く五日目まで一日0人を更新し続けている。客を待つ路上で居眠りをしてしまうほどに道行く人々は新参の占い師に見向きもしない。
隣で涼しい顔をしたフラメンコギター奏者の26歳がどんどんお金を集めていく姿を指をくわえて見ていると、彼が「このお金でせんべろ行きましょうよ!」と優しく声をかけてくれるところまで酒飲みは極まった。
「酒毒は良薬、あいも変わらず宣っております」
Music : What A Wonderful World - Louis Armstrong
Location : NAHA OKINAWA TENBUSU
寝付けぬ夜の肝試し
自分よりも何日も何ヶ月も、何年も長くドミトリーにいる先輩方は散々遊び散らかしてこの沖縄の地での時間を持て余しているらしく、ここ最近毎晩のように心霊スポットへと4、5人で車に乗りあって行くのがブームらしい。
出かけるのは決まって夜飯時で「一緒にどう?」と誘われるも「いやいいっすよ心霊系は苦手なんですよー…」と断っていた。「今日はどこ行くんですか?」「今日はあれ貝塚っていうところ、近くの墓場行く」夕飯をガッつきながら車を出すリーダーを見送った。
目に見える世界だけで十分に肝試しなのに、なんでわざわざ心霊スポットに行くのか…暇だから。
自分も酒、weed、アシッドにハマっている時は確かに暇たな時か、ストレスを発散させる為だった。恐怖を感じたい時というのが全ての人にあり、それを簡易的な手段で達成したいのが人という変な生き物なのだ。その時はそれでいいが行動には結果が必ず伴う。
23時頃にドミトリー前の喫煙所でタバコをふかしていると右の方から気配を感じたと思ったら、足音を立てずに喋りもせず5人が帰ってきた。ギョッとして「え、肝試しどうでした」と聞くと20代女の子が「いや、やばかったっす…」と口が重く詳しくは話さない。40歳近くの巨漢のリーダー格もいつも笑顔なのに全然口を開かずどかっと自分の隣に腰掛けてタバコに火をつけて右足をやたらと触っている。もう一人の石垣出身の男の子も立ちながら足をやたらと気にしている。あ、これはやらかしたやつだと思い「霊見えました?」と聞くとリーダーが「見たってもんじゃないよ、俺女の霊に足首掴まれたんだよ!貝塚で!それで足首が痛いんだ、こいつもだよ」石垣出身の男の子を指差してと怒ったように言ってきた。5人全員の目が死んでいる。
そのあとわっと堰を切ったように5人が5人それぞれの恐怖体験を話し始めたが同時に喋り続けるものだからおかしくて笑ってしまった、だが本当にそれぞれが声を聞いたり、霊を見たり、体を触られたりと散々だったらしい。全員がもう二度と行かないと何かに誓うように呟いていた…
そのあと霊の怖さについて自分が沢山喋って散々脅かしてとりあえずチベット語の心経を聞かせて落ち着かせて自分もなんだか怖くなって寝たが、5人はリビングで深夜遅くまでぼーっとしてとにかくお酒を飲んで寝たそうだ。正直心の中笑いが止まらなかったが、行っちゃダメなのだ肝試しなんて。
他の誰かが言ってたセリフだが「肝試ししたいんなら繁華街でも行ってヤクザモンに喧嘩売ってこいよ、よっぽど肝試しだぜ」ほんとほんと。
もし沖縄本島で確実に心霊体験をしたい人はご連絡ください。カウンセリング込みのツアー1日ツアー5万円で承ります、不定休ですのでまずはお問い合わせください。
「目に見えるもんが一番怖いんだから、わざわざ霊の邪魔はしちゃダメよ」
Music : Timber Timbre - Magic Arrow
Location : NAHA OKINAWA